2020年05月30日

店主のお菓子づくりの原点『お菓子のクッキング』 バーバラ寺岡著

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小学3年生頃だったと思います。
友達の間でクッキー作りが流行りました。失敗しながら楽しんでいました。

ある日、本屋さんで『お菓子のクッキング』という本がお菓子作りの魔法の書を見つけました。


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バーバラ寺岡先生の解説、は材料の説明からお菓子の由来、ダイエット、ティーパーティーの開き方に至るまでお菓子にまつわるエピソードが豊富でした。記されている材料も道具も揃わないけれど想像することが楽しかったものです。
作り方もいまのように動画や豊富な写真での解説ではない時代、ある程度想像が必要でした。何度も作るうちにコツがつかめてきたように思います。


「三日月クッキー」のページには、工程ごとに自筆で時間が記されていました。つまりこれは何分で作ると言う意味です。次はもっと早くできるようになるためのメモです。
これは良く覚えています。
そのほかのページの落書きを見ると中学生までこの本でお菓子を作っていたようです。
(中学は調理部で部長でした。)

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なぜこんなに作っていたのか考えると、
幼少より母はお菓子を買ってくれませんでした。 
正確にはスーパーで欲しいものを買ってくれなかったのです。
与えられるお菓子は、母の手作りか母が選んだものだけでした。
スーパーに行くと「お菓子見るだけね」と棚へ駆けて行き、
お菓子の箱を取っては眺めるのです。
「買って欲しい」と言うと家でものすごく怒られます。
なので、その場を離れるときに「いつか買えるといいな」と
決まり文句の独り言が精一杯のアピールでした。

母は料理を手伝わせてくれませんでした。完璧な助手でないとイライラするらしいのです。
ただ休日の夕食前は台所を使っても構わず、自由なお菓子作りが許されました。
当然失敗もしたのですが、干渉されなかったのが続いた原因かもしれません。

『お菓子のクッキング』を改めて読み返して感心したのは、編集内容に子供だからこのあたりでいいだろうという妥協は見られないことです。先生の技術、美意識、外国のお菓子、材料、慣習まで惜しみなく展開されていて、繰り返し読みたくなるのです。イラストレーターさんは4人も担当されていて、見飽きない工夫が細部に行き渡っています。

もう一つ思い出深いお菓子が「サバラン」。
名前もおしゃれでブランデーを使うなんて想像もつきません。小学生の挑戦になぜか親はブランデーを使わせてくれました。しかし、出来上がったサバランはものすごく苦く失敗したと思い二度と作りませんでした。大人になって洋菓子店の本格的なものをいただきましたが、下戸の私にはなぜこの領域に酒が全面に出てくるのか理解できませんでした。同時にあの時作ったのは失敗ではなかったことを知りました。

中学を卒業してからは、音楽、アルバイト、恋愛などで忙しく過ごし、お菓子は専ら食べるばかりでした(ホテルのケーキバイキングでは20個も食べていました)。学校の勉強と共に疎遠になっていたお菓子作りは、サバランの目覚めがきっかけで再開することとなります。

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posted by cozue at 21:59|