2024年08月29日

ブッツァーティ 短編集『七人の使者 神を見た犬』

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新作のイメージ醸成のためにインプットしなくては
知性や芸術がなんだか枯渇しているような気がして
図書館に参りました。

このところ旅らしい旅はほとんど
行けていないことから世界遺産集
など知らない何処かへかつて旅した
場所を懐かしんだり

コーナー近くにあった旅にまつわる
小説集を手にとったところに
ブッツァーティの
『なにかが起こった』を一気読みしました。

主人公が列車に乗ることからはじまり
車窓の様子の描写にぐいぐい読み進めて
あっという間のクライマックス。
ごく短い小説でした。

でもちがう。。。
求めていたのは旅の素晴らしさ、
車窓の景色、人々の交流のこと。
BSの世界列車の旅の世界です。

これは騙されました。

不条理の恐怖でした。

ブッツァーティはカミュや星新一
みたいと評されることが多く
異論ないところです。

『七階』は有名な作品で
フランスで劇化された際は
カミュが監修しました。

なるほど。

7階の建物は病棟。
病気のとき病院で
悪いほうに考えてしまい
がちですが、それをもとに
病院から帰って一気に
書き上げたそうです。

まるで丸腰で読み始めた
『なにかが起こった』も
ほかの作品も
だんだんこれって???
実は???なんで???

不安が恐怖の確信に変わる
ぞわぞわするホラーです。
どういう癖か、もう一度読みたく
なり、また他の作品も知りたくて
本を求めました。
絶版で古本しかありません。

多分、図書館にはあるかと思います。
ぜひお好きなタイトルから
読んでみてください。

『自動車のペスト』
は自動車が感染症ペストにかかってしまう
お話し。コロナ禍をくぐってきた(いや今もか)
私たちは、不条理そのものが現実を生きること
と自覚することでしょう。

ただいま絶讃、わたしの癒しは自動車です。
自動車のカタログを見たり
実物見たさにディーラーにお邪魔したり
ショッピングセンターの駐車場を歩くのも
楽しいのです。
今日は塗装、きょうはホイール、
きょうは洗車、掃除。いろいろテーマを
決めて眺めています。
工場で作られたままだけではない個性を
見るのが好きです。

ですから、かわいい自動車がペストだなんて
わたくしにとってショッキングなタイトルでした。
自分の日常にリンクした小説は、
ぐいーっと入り込みますね。

コロナ禍でちょっと流行った
カミュの『ペスト』もよぎりました。


先に星新一とありましたが
NHKでドラマが放送されていますが
面白いですよね。
けして古くない。読んでいた
頃はSFと思ってましたが、予言のようです。

テレビドラマ『世にも奇妙な物語』なども
お好きであればぜひご一読ください。

翻訳もいいからかな。テンポがいいのですよ。
イタリア文学だからか、ブッツァーティが
新聞記者だったからか
ねちねちメタファーとか使わない。
とても読みやすいですよ。

本の内容と関係ないのですが、
まだ、岩波文庫を裸眼で読めることが
幸せでした。
posted by cozue at 21:21|

2021年11月11日

瀬戸内寂聴先生

2021年11月9日瀬戸内寂聴先生が
お隠れになりました。

梢庵オープン直前に近しい方より
お声がけいただき、寂庵さんへ菓子をお届けしました。

初期の短編から伝記もの長編の愛読者でありましたので
大変嬉しかった出来事でまた新作をお届けしたいと
思っておりました。

ご冥福をお祈りいたします。

今週は寂聴先生の作品を棚に置きます。
何冊も自宅にあるはずがほとんど見当たらず
仕舞い込んでいるようです。
取り急ぎ新しいのを持ってまいりますね。

ドリンクやギフトをお待ちいただく束の間、
お手に取ってはじめの何ページかだけでも
ご一読ください。
きっと引き込まれますよ。

短編なら『蘭を焼く』、
長編は『いよよ華やぐ』が好きです。
(しかし、どこに置いているんだろう?)

テレビで又吉さんの小説について、
「面白いのよ、でもなんであんなに売れるの。嫉妬するわ」。
とおっしゃるのが可笑しかったです。
僧侶が嫉妬するとはっきり口にするものかと。

先生くらいになると笑顔で生きて
いらっしゃることがありがたい存在でした。

一生懸命に自分を生きようと進まれて
書くお仕事で足跡を残してくださった。

今夜は何行かでも先生の文章を読んで
感謝の気持ちをお伝えします。

・・・今『蘭を焼く』読ませていただきました。
才能と情熱ほとばしる先生がペンを走らせる鼓動
を感じました。書いて生きていくという意気込み。
先生は生きていると感じました。


posted by cozue at 21:46|

2021年08月25日

梢庵のリーチポタリーの陶器と本

9月からドリンクを徐々に変更してまいります。

早く香り豊かな紅茶を登場させたいところです。
前からあっても良さそうなものですが、
実は一旦保留しています。

お砂糖やミルクは自由に調節いただけるよう
開店前より準備していました。

気にいる容器を探すのにも時間がかかりました。

特に砂糖容器ですね。

大げさではなくシンプルで梢庵に
なじむもの。お客様に扱いやすいもの。

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こちらはリーチポタリーで生まれた
シュガーポットです。

なんとも言えない青磁のような
グリーン。
茶道具のおなつめのようでもあります。

これがリーチポタリーの印です。

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実はお匙を探すのにも時間を要しました。
と、ようやくセットできたものの
コロナは去らず。。。

スターバックスさんにあった
お砂糖、ミルク、はちみつの
カスタマイズコーナーは
なくなって久しいですね。

感染防止対策のため
梢庵も習いアレンジの幅のある
ストレートティーは未登場の状態です。
しばしお待ちください。

ジンジャーちゃいなど可能な限り
お客様のお好みに合わせて店主が甘さ等を
調整いたしております。

梢庵にはもうひとつリーチポタリー
の焼き物がございます。

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店主のマグです。
10年くらい毎日あらゆる
お茶をいれてきました。
和洋食器どれにもあうのです。

おかしな線はうるしで継ぎました。
自分でやって大失敗。
お恥ずかしい。悔しい。

自分で金継ぎをやろうなんて
思わないでプロにお任せしたほうが
よいですよ!
これもマークが下のほうに

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この子たちの故郷を知りたいな、
工房に行って見たいなとずっと思って
いたらこんな本に出会えました。
↓↓↓
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『バーナード・リーチとリーチ工房の100年:
海とアートの街セントアイヴスをめぐる 』

工房のみならず周辺の
案内もあり、旅に誘う書物です。
工房の存続の危機もありながらいままで
保っていただけて、景色も発展しすぎ
ない街並み、海など素敵な写真がたくさんです。

9月から梢庵の本棚に仲間入りします。

本棚の本は季節や店主の気分で入れ替わります。

posted by cozue at 22:32|