新作のイメージ醸成のためにインプットしなくては
知性や芸術がなんだか枯渇しているような気がして
図書館に参りました。
このところ旅らしい旅はほとんど
行けていないことから世界遺産集
など知らない何処かへかつて旅した
場所を懐かしんだり
コーナー近くにあった旅にまつわる
小説集を手にとったところに
ブッツァーティの
『なにかが起こった』を一気読みしました。
主人公が列車に乗ることからはじまり
車窓の様子の描写にぐいぐい読み進めて
あっという間のクライマックス。
ごく短い小説でした。
でもちがう。。。
求めていたのは旅の素晴らしさ、
車窓の景色、人々の交流のこと。
BSの世界列車の旅の世界です。
これは騙されました。
不条理の恐怖でした。
ブッツァーティはカミュや星新一
みたいと評されることが多く
異論ないところです。
『七階』は有名な作品で
フランスで劇化された際は
カミュが監修しました。
なるほど。
7階の建物は病棟。
病気のとき病院で
悪いほうに考えてしまい
がちですが、それをもとに
病院から帰って一気に
書き上げたそうです。
まるで丸腰で読み始めた
『なにかが起こった』も
ほかの作品も
だんだんこれって???
実は???なんで???
不安が恐怖の確信に変わる
ぞわぞわするホラーです。
どういう癖か、もう一度読みたく
なり、また他の作品も知りたくて
本を求めました。
絶版で古本しかありません。
多分、図書館にはあるかと思います。
ぜひお好きなタイトルから
読んでみてください。
『自動車のペスト』
は自動車が感染症ペストにかかってしまう
お話し。コロナ禍をくぐってきた(いや今もか)
私たちは、不条理そのものが現実を生きること
と自覚することでしょう。
ただいま絶讃、わたしの癒しは自動車です。
自動車のカタログを見たり
実物見たさにディーラーにお邪魔したり
ショッピングセンターの駐車場を歩くのも
楽しいのです。
今日は塗装、きょうはホイール、
きょうは洗車、掃除。いろいろテーマを
決めて眺めています。
工場で作られたままだけではない個性を
見るのが好きです。
ですから、かわいい自動車がペストだなんて
わたくしにとってショッキングなタイトルでした。
自分の日常にリンクした小説は、
ぐいーっと入り込みますね。
コロナ禍でちょっと流行った
カミュの『ペスト』もよぎりました。
先に星新一とありましたが
NHKでドラマが放送されていますが
面白いですよね。
けして古くない。読んでいた
頃はSFと思ってましたが、予言のようです。
テレビドラマ『世にも奇妙な物語』なども
お好きであればぜひご一読ください。
翻訳もいいからかな。テンポがいいのですよ。
イタリア文学だからか、ブッツァーティが
新聞記者だったからか
ねちねちメタファーとか使わない。
とても読みやすいですよ。
本の内容と関係ないのですが、
まだ、岩波文庫を裸眼で読めることが
幸せでした。